私が作詞をする上で重要にしているポイントをご紹介します。
1、詞はできるだけシンプルにする
余分な言葉が多いと、詞のリズムを壊す元になります。
また、詞のリズム(韻)が悪いと、曲もつけにくくなります。
作曲家の立場からすると、文字数が多い場合、その文字数に合うように「音の詰め込み」をしなくてはなりません。
それが良い効果を生み出すときもありますが、音符が増えるということは、それだけ覚えやすいメロディーラインを作らなければならないということになります。
私はできるだけ「文字数を減らす」ことをお勧めします。
同じ表現でも、もっとシンプルな言葉で表現できないか、考えてみるのです。
2、歌い手の気持ちになる
例えば、「Ahhh」という音をのばすとき、ビブラートを心地よくかけることができます。
しかし、同じ音の長さで「A I U E O」というラインにするとブラートがかけにくくなります。
当前のことですが、音の譜割が細かくなることで、歌い手の表現の自由が制限されてしまいます。
また、言葉によっては、発音しにくい言葉もあるため、むやみやたらに英語を用いることはお勧めできません(※英語がペラペラなら大丈夫です)。
大事なことは、歌い手が感情移入して歌える歌詞にするということです。
それには、「歌詞の意味」も勿論大事なのですが、それ以上に、発音しやすい言葉を選んであげることが大事なのです。
歌い手さんの声が一番活きる言葉、それを見極めるために、できることなら作詞の前に、歌い手の声を実際に聞いておきましょう。
3、歌詞の出だしで、歌い手の印象が決まる
これは、頭の片隅に置いていただきたいのですが、「ア列」の言葉から始まる歌(カやサなど)は、口を大きく開けますので、明るいイメージを持つことが出来ます。
すなわち、出だしの言葉で「曲のイメージ」が決まってしまうこともあります。
ちなみに、この「ありったけの愛を」という曲は「明るい結婚式ソング」ですから、頭に「あ」の音を持ってきました。
それでは、上記のことを踏まえて、もう一度「ありったけの愛を」の歌詞を見直してみます。
※MOKIがリフォームしていく箇所をハイライトさせてみました。
「ありったけの愛を」
【サビ】
ありったけの愛と がむしゃらな思いを
君に今、送るんだ いつまでも
強く踏み込んでゆく 何も言わずに
君を今 抱きしめる
【1-A】
見慣れたはずの景色が 今日は潤って見えたよ
両手に抱えきれないほどの 花を持った僕が立っている
ゆっくり扉を開く まぶしい朝日の下で
優しい言葉だけじゃ伝わらない想いがあるから
【1-サビ】
ありったけの愛と がむしゃらな思いを
君に今、送るんだ いつまでも
強く踏み込んでゆく その手引き寄せた
君を今 抱きしめる
【2-A】
僕がもっと器用だったなら 君の優しさが見えずに
きっと乾いて静かに すれ違って 消えてしまっていた
傷つけあったお互いの 過ちを許しあえた
それはとても温かい神様がくれた本当の愛だから
【2-サビ】
ありったけの愛と がむしゃらな思いを
君に今、送るんだ 光の中で
強く踏み込んでゆく 何も言わずに
君を今 抱きしめる
【2-サビ2】
ありったけの愛と がむしゃらな思いを
君に今、送るんだ いつまでも
虹の彼方見つめ 強く決めたんだ
君を今 抱きしめる
君を今 抱きしめる
歌詞を手直しする前に、少しご注意を。
詞を勝手にいじられると機嫌が悪くなる作詞家もいます。
その場合は話し合いの場を持つなどして、臨機応変に対応して下さい。
ただ、本当に優れた作詞家は、詞をいただいた時点で「いじりようがない」ですが。
それでは、今回のリフォームポイントを挙げていってみましょう。
1、「適切な漢字」に直す
まるで国語の時間みたいですが、良い詞を書くことは「できるだけ美しい日本語」を使うことから始まります。
日本語の美しさは「漢字」にある、と言っても過言ではありません。
下記が直した箇所です。
がむしゃらな思いを → がむしゃらな想いを
サビに何回も出てくるこのフレーズ、このフレーズの「思い」という言葉を「想い」にしました。
この曲は恋愛の歌ですから、この場合「思い」は「想い」にした方が、日本語的に正しいですね。
2、できるだけシンプルな言葉回しに直す
先に書いたとおり、できるだけ余分な言葉は省きましょう。
日本語が少しおかしくても、話し言葉として通用するならOKです。
たとえば「食べている」→「食べてる」のように。
下記のフレーズを直しました。
今日は潤って見えたよ → 今日は潤って見えて
両手に抱えきれないほどの → 両手に抱えきれないほど
花を持った僕が立っている → 花を持った僕が立ってる
君の優しさが見えずに → 君の優しさ見えずに
消えてしまっていた → 消えてしまってた
3、美しい&インパクトのあるフレーズに変える
その人の感性がもっとも必要とされるリフォームです。
特定のフレーズを、よりインパクトのあるフレーズに直します。
前後の流れを読み取り、最も適した言葉を見つけ出すので、ちょっと難しいかもしれません。
たとえば「黙り込む」→「沈黙の」のように、ちょっとカッコイイ言葉に直していくのです。
その人が持っているボキャブラリーの豊富さが重要になってきますので、本を読まない人は苦戦するかもしれません。
本を多く読む人は、自分でも気づかないうちに、素敵な言葉を自然に覚えているものです。
本を読まない人は、本を読む習慣をつけてみましょう。
私は下記のフレーズを直しました。
きっと乾いて 静かに → きっと乾いて はかなく
強く踏み込んでゆく 何も言わずに → 強く踏み込んでゆく 言葉を超えて
こうして完成した詞は、以下のとおりです。
「ありったけの愛を」
【サビ】
ありったけの愛と がむしゃらな想いを
君に今、送るんだ いつまでも
強く踏み込んでゆく 言葉を越えて
君を今 抱きしめる
【1-A】
見慣れたはずの景色が 今日は潤って見えて
両手に抱えきれない 花を持った僕が立ってる
ゆっくり扉を開く まぶしい朝日の下
優しい言葉だけじゃ伝わらない想いがあるから
【1-サビ】
ありったけの愛と がむしゃらな想いを
君に今、送るんだ いつまでも
強く踏み込んでゆく その手引き寄せた
君を今 抱きしめる
【2-A】
僕がもっと器用だったなら 君の優しさ見えずに
きっと乾いてはかなく すれ違って 消えてしまってた
傷つけあったお互いの 過ちを許しあえた
それはとても温かい神様がくれた本当の愛だから
【2-サビ1】
ありったけの愛と がむしゃらな想いを
君に今、送るんだ 光の中で
強く踏み込んでゆく 言葉を越えて
君を今 抱きしめる
【2-サビ2】
ありったけの愛と がむしゃらな想いを
君に今、送るんだ いつまでも
虹の彼方見つめ 強く決めたんだ
君を今 抱きしめる
君を今 抱きしめる
それでは、次にメロディーをつけていきます。